治験と新薬

期待できそうな免疫療法治験

ワクチン等で最近話題になっている免疫療法。多くが海のものとも山のものとも分からない第一相の治験である中、第二相に入った免疫療法治験を見つけ、期待できそうと、元気がでてきた。

春に歯のインプラントの下が壊死しているか、或は慢性感染、最悪の場合は癌転移かも!と口腔外科医に脅かされ、その治療のために、歯医者に行って、最新療法と言って紹介された、自分の血液から作った濃密な白血球ボールを患部に埋め込んだ。4ヶ月後、結局壊死だった傷口はきれいに完治していた。

見つけた免疫療法は、ちょうど、この白血球ボールの治療と似ている。

患者の腫瘍から白血球細胞を取り出し、研究室で数を大量に増やす。それから、大量に増やした細胞を患者に戻す。この濃縮された細胞はTumor Infiltrating Lymphocytes 又はTIL (腫瘍浸透リンパ球)と呼ばれる。

この治療を200人以上の皮膚がんの患者に施したところ、50%以上の患者の癌が縮小したと言う。
普通、抗がん剤の効奏率は良くて30%ぐらいだから、これはすごいと思う。

現在参加者を募集しているこの治験は、4期の消化器系がん、乳がん、卵巣がん、膀胱がんの患者を対象にしている。

比較研究じゃないから、治験に参加できたら、確実に治療を受けられる。

治療手順は、最初にTILを3種の抗がん剤と一緒に点滴するだけで、後は予後観察のみのよう。

おまけに、普通脳転移がある場合は、対象から外されるのだけど、この治験では脳腫瘍が3つ以下で、いづれもサイズ1cm以下だったら参加可能とある。

これ、いけるかもしれない。

そう思って、さっそく主治医にメールした。

何と返事がくるだろう?

ちなみに、この治験がおこなわれているところは、ニューヨークのそばのメリーランド州、Bethesda(ベテスダ)。

ベテスダは、イスラエルに行ったとき、訪れた、癒しの池の名前。38年もその池に入りたくても入れないで、そばに横たわっていた障害者をイエスが癒した場所。ここで、ジョージと、同じ旅行に参加したクリスチャン夫婦が私の肩に手を置いて、祈ってくれた。

その場所と同じ名前と知って、ハッとし、なんだかそれだけで奇跡が起きるような気がし、単純な私は興奮して止まない。

TIL療法の日本語による情報はこちら:
https://www.tella.jp/company/release/2011/12/62/

医師によって変わる選択肢

「変更してよかった。」

腫瘍科医を変更して最初の外来を済まし、そう満足して病院を出た。

正確には、先の腫瘍科医が産休を取った時、過去2回彼女にはお世話になっている。その時、彼女が優れているという印象を持ち、それで、今回彼女への担当変更を希望した。

今日の外来の何よりの収穫は、彼女から新たに2つの治験を勧められたこと。

一つは、がんに遺伝的因子がある転移乳がん(全てのタイプを含む)のために開発されたTalazoparib (BMN673)という口径剤と概存の薬とを比較する第3相に入った治験

もう一つは、乳がんに限らず、各患者のがん細胞を調べ、相性の合う薬を見つける治験。こちらは第二相に入ったところだと言う。

自分の癌と相性の合う薬を見つける治験では、癌腫瘍が1.5cm以上でなければならず、私の癌は、前回のCT検査では、まだこのサイズ以下であったため、これはまだ先の選択肢となる。

もう一つの治験も、我が家には乳がんをした者がおらず、遺伝的因子があるとは思いにくいのと、治験の条件に、転移後、3剤以上の抗がん剤を経験していないこと、とあるので、すでに5剤目を使っている私は、参加資格がないじゃないかと思うのだけど、ともかく選択肢がさらに増えことは朗報。

医師はスレイマン先生が推薦した3選択肢(①治験薬MM302 ②アフィニトール&ハーセプチン ③ハラベン+ハーセプチン)も含めて、今のアブラキサンが失敗に終わった場合に備え、すべて可能性を探求、準備を始めていきましょうとおっしゃった。

先の医師は、全部を求めるのは大変だから、まず一つ選んで、とおっしゃったけれど、これは大きな違いに思える。

早速遺伝的因子があるかどうかを調べるため、診察後、唾液と血液の検査を受けた。

肝臓酵素の一つALPの値も夏から上昇を続けているため、骨転移の疑いがあると、骨スキャンのオーダーも出された。

次から次へと玉を打ち込むかのような対応が頼もしく、安心してお任せできそうと、安堵感を覚えた。

医師によって選択肢は多いに変わってくると思わずにいられない体験だった。

遺伝子テスト結果が届いた

最初に、心配した白血球(好中球)の値だけれど、昨日の血液検査では正常値に戻っていた。感謝!

そして、クリスマスの週末催促して月曜日、やっと添付Eメールで届いた合計30ページの遺伝子テストリポートを、期待と一抹の不安に胸を膨らませて開けた。

最初のページに見つけたのは、可能性のある治療として推薦された7つの薬と16の治験。その数に、嬉しい!と、一瞬目の前が明るくなった。でも、良く読んで、調べていくと、両手を挙げて喜ぶのはちと早すぎることに気がついた。

まず、推薦された7つの薬のうち、4つはハーセプチン、タイケルブ、パージェタ、TDM1で、すでにもう使用済み。
残りの3つは、
1)ホルモン陽性乳癌用アフィニトール
2. 肺癌用アファチニブ
3. 腎臓癌用トーリセル

だけど、16の治験はほとんどがまだ海の物とも山の物とも分からない第一相の段階で、治験の場所もニューヨークだったり、マサチューセッツだったりと、カリフォルニア州外。或いは、私は対象外のホルモン陽性患者用のものだったり。

なんだか上げ底の果物籠のよう。

一見選択肢が沢山あるように見えて、実際役に立ちそうなのは、アフィ二トールが使えるってことだけなんじゃないか?

個人に適した薬を見つけるというふれ込みの遺伝子テストは、最近テレビのコマーシャルにも現れるようになって、まるで、ビーカーの中で、癌細胞が消えていくのを確認できるかのような印象を受ける。でも現実には、テストで異常を示した遺伝子を見つけたら、それを対象にしている、薬、治験を紹介すると言うもので、治験薬は、研究途上の薬だから、効果の度合いも副作用もはっきりしていない。ハーセプチンのように、何年も効果を表し続ける薬もあれば、失敗に終わる治験薬だってある。

5千ドルも払うほどの値打ちがあったかどうか考えさせられるけど、医師は何と言うだろう?
医師の見解は、来週の外来で聞くことになる。

次の作戦

ハーセプチンはHER2 陽性乳がんには必須の抗体薬。この薬が開発されてから、それまで予後の悪かったこのタイプの乳がん患者の生存率は画期的に伸びた。
でも、この希望の薬も効果が現れるのは約半数の患者のみで、効果が見られても、いずれ癌に抗体ができて、効かなくなると言われている。

私も、乳房全摘手術前に始めた抗がん剤治療から、今日に至るまで6年間この薬を使い続けてきたわけだけど、タイケルブを加える前の1年間は、癌が進行し、タイケルブを外した過去2年間、再び癌が進行し続けていることを考えると、ハーセプチンは効力を失った、あるいは、効果が最初から最小なのでは?と思えてくる。

CT結果を受け取った時、主治医は次の策として、UCLAのスレイマン先生が推薦してくれたMM302という改良したアドリアマイシンとハーセプチンの治験について「どうか?」と言ってきた。

アドリアマイシンはHER2陽性患者によく使われる薬でありながら、最初の主治医がこれを私に使おうとした時、UCLAの医師から勧められた(TOPO)遺伝子テストで、この薬は私には効果がないという結果が出、今まで一度も使わずに来た。

改良されたとは言え、そのアドリアマイシンと疑問を持ち始めたハーセプチンのコンボとなるとどんなものか?と思い、この治験の全責任者であるテキサスに住む医師にメールを出し、質問してみた。

答えはすぐに来たけれど、「MM302があなたに効果があるかどうかは、遺伝子テストの結果がどうであれ、治験の結果をみるまでわからない。主治医とよく相談して決めてください。」と言う内容だった。

次に、ハーセプチンが効かない場合の治験を探してみた。

昨年考慮した、白血球の一つ、T細胞を強化し、体に戻す注目の免疫療法治験は参加者が満たされたようで、現在は参加者リクルートが中止。

2番目に見つけた治験は、すでに世に出ている脊髄疾患の薬(Jakafi)がハーセプチンへの癌抗体を抑えるという仮説のもとに勧められている治験。でも、これは場所がニューヨークで、最初の3週間は毎週、その後も3週間ごとにクリニックを訪れることが条件になっており、カリフォルニアに住んでいる私には無理。

3番目は、第3相まで来ている、ハーセプチンのように抗体の働きをする新薬Margetuximabの治験。治験の場所もロングビーチと、近くて魅力的だったけれど、治験参加資格に、転移後受けた抗がん剤治療(レジメン)は3つまでとあり、この時点で私は失格。

4番目は、これもハーセプチンに代わる口径新薬Poxiotinibの第二相治験。場所はニューヨークと、カリフォルニアでは、サンフランシスコの北にあるGreenbraeの2箇所のみ。
Poxiotinibは中国が開発した薬で、HER2陽性乳がんの他、胃がん、頭頚部がんへの治験も同時に行われているそうだ。第1相の治験では、今までハーセプチンやT−DM1のようにがん細胞標的薬を持ってしても進行を抑えられないでいた乳がん患者の60%に効果があったと言う。

外来日だった今日、以上の情報を主治医の前に広げ、結局、Greenbraeで行われているPoxiotinibの治験の可能性をもっと探求してみることで同意を得た。

その間、現在のアブラキサンとハーセプチンにタイケルブを加えることにした。

タイケルブは、一般にハーセプチンが使えなくなった時に代理に使う薬だけれど、最近の研究によると、IL-8と呼ばれる薬と併用した場合、がんを増やしていく乳がん幹細胞を抑える効果が、ハーセプチンよりはるかにあることがわかり、ハーセプチンと兼用した場合の効果も証明されている。
(タイケルブとIL-8の治験は探してみたけれど、見つけられなかった。)

過去に2年間、タイケルブをハーセプチンと共にすでに使用した私の場合、この理論が依然通用するのかどうかはやはりやってみるまでわからない。

癌治療は全てギャンブル。でも、次の案が出て、軌道修正できたからちょっと安心。この後も続けて正しいベストの治療へと導かれることを祈る。

免疫療法は命がけ?

癌治療は当たるも八卦、当たらぬも八卦のギャンブルだけど、その中でも、治験参加(特に早期)のリスクは高くて、当たれば万々歳、そうでないと、命を落とすことにもなりかねないとさえ思える。

TIL(腫瘍内浸潤リンパ球)療法と呼ばれる最先端の免疫療法については以前もこのブログで紹介したけれど、今日、参加された方からの最新情報をバーチュアル乳がんコミュニティーInspireで読んだ。

治験に参加された女性は、10年間の寛解後、3年前に再発、そして全身転移。いきなり余命3年の告知を受けた50代のJudyさん。

TIL療法は皮膚癌(メラノーマ)やリンパ腫ではすでにいくつもの成功例を出しているらしいけれど、乳がんでは、彼女が初体験者だったそうだ。

記事によれば、まず手術により癌腫を取り出し、それを24個に薄切り。

次に研究室で、TILがどれほど癌を攻撃するかを観察した。この時は攻撃したのは24個のうちわずか4個だけだったものの、この4個を攻撃したTILは、癌だけを狙う800億に増やされた。

ここまでは「凄い!」と息を飲んだのだけど、次のくだりを読んで、怖くなった。

増大されたTILをからだに戻す前、Judyさんは大量の抗がん剤により、癌を認知しない白血球を全て消滅させなければならなかった。。!

白血球は感染から守る働きをするから、その白血球がなくなったら、簡単に死んでしまう。本来ある白血球をゼロにするのにどれほどの時間が必要だったのか、新しい白血球が入れられるまでのその間、Judyさんの体はどんなだっただろうと想像する。どうりでこの治験参加者は集中治療室に入らなければならないわけだ。

過酷な治療を終え、退院した彼女は、しばらく寝たきりの状態が続いたらしい。でも、5ヶ月が経った今、癌はほぼ消えてなくなり、もう痛み止めも必要なく、普通の生活を謳歌していると言う。

医師は、まだこの治療が成功したかどうか、結論を出すのは早いと言い、彼女の経過観察はさらに続く模様。

もう打つ手がないというところまで追い詰められての治療だったわけだけど、彼女の勇気には全く頭が下がる。

良い治療が開発されるのは、Judyさんのように勇気ある患者さんが何人も治験に参加しているからに違いない。

自分で探し当てたPoziotinibの治験だけど、その詳細を知って、怖くなってしまった私は、Judyさんの足元にも及ばない。

癌治療は怖がってたらできない。勇気が一杯必要だと思った。

医師に勧められた治験

生検により癌細胞を取り出し、それに適した薬を探す遺伝子テストは、昨年も試みたことがある。でも、今回医師が勧める遺伝子テスト治験は、これとは違った分析をして適合薬の判断をするのだと言う。

第二相にあるこの治験で使われる薬は全部で24種あり、これらの24種の薬の効果と副作用を調べることがこの治験の目的の一つ。

第一相治験の結果では、使われた薬は10種だったためか、癌遺伝子とこれらの薬が適合した人はわずか9%だったそうだ。第二相治験では薬の種類が2倍以上に増え、さらに期待できそうな薬が開発されれば、随時この治験に加えられていくので、関係者は適合確率が20−25%になることを期待しているらしい。

参加対象者は、治療選択肢がなくなってきた人で、縮小したかどうかサイズを測れる癌であれば、乳がんだけにとどまらない。

昨年8月にこの治験が始まった時は、応募者が殺到し、参加者の募集は10月であっという間に打ち切られたそうで、再募集が始まった今回も、もたもたしてるとまた募集が打ち切りになるかもしれないと医師は言う。

タイケルブを加えることにした現在の治療については、先日のCT結果が悪かったことを考えると、十分でないかもしれないとおっしゃる。

でも、治験に参加するためには約10週間、全ての治療を中断しなければならず、そこまで待っても、私の癌が治験薬に適合する可能性は20%以下で(HER2+に使える薬は2種だけかも?だとすると確率は数%。)、さらに治験薬を使えても、その効果はどこにも保証がない。

どっちもどっち。さあ、どうしよう。悩むなあ。

日立でワクチン治験?

現在の抗がん剤の効果も、医師に勧められた遺伝子テストによる治験薬も期待出来る確率が最小なら、もっと検索を続けて効果の確率が高い治療を探すべきと再び検索を始めた。

前回検索した時はClinicalTrials.gov を使い、今回は国立癌研究所(National Cancer Institute)のサイトを使ってみた。どちらのサイトも世界中のガン治験が集められているのだけれど、微妙に違って、前回の検索では見つけられなかった治験を今回のサイトに見つけたり、同じ治験でも、前者には含まれていない治験場所が後者には含まれていたりした。

転移HER2陽性乳がんでしぼったら、どちらも200件を超える治験が見つかり、これらの中にはトリプルネガティブやホルモン陽性乳がんのための治験も含まれていたものの、アメリカの治験の数の多さには全くびっくり。こんなに治験の数が多いのはこの国だけだろうなと、アメリカが医療大国であることを再認識。そんな国に住んでいられることを感謝した。

で、この200を超える治験内容を一つ一つ読んでいったところ、その中に2年前、このブログでも紹介した樹状細胞ワクチンの治験を見つけた。

初めて人を対象にワクチンの効果を調べる第一相の治験ではあるのだけれど、治験場所にカリフォルニアを見つけてまずニッコリ。そしてその下には、Irvine市、Hitachi Medical Systems America Inc(日立医療システムアメリカ社)とあるのを読んで驚いた。

日立って、あの電化製品の日立のこと?と思い、早速Hitachi Medical Systems America Incのホームページを見てみた。CTとかMRIとか、医療機器を製造販売している会社のようで本社はオハイオ州。治験のことはどこにも書いてないし、癌治療の研究をしているような気配も全くない。

?マークを頭につけながら、それでももしこれが間違いじゃなくて、我が家から車で1時間の距離のアーバインでワクチン接種をしているなら、期待できるかも!と、早速留守電を残した。

明日は返事があるだろうか?

ワクチン治験:ネズミになりたい!

「ワクチンの治験、ネズミでは大成功だったんだって。」

「それじゃあ、尻尾と、大きな歯とチーズ用意してあげる。」
友達とそんな会話をして大笑い。

ワクチン治験について、2度も留守電残したのに、依然日立からは返事がないものの、この治験の本山であるNCI(National Cancer Institute)からはいろいろ嬉しい情報を受け取った。

!)経費

高額な治験薬やCTやMRIなどの検査費は、治験のスポンサーが負担してくれる場合もあれば、医療保険に頼らなければならない場合もある。医療保険に頼らなければならないとなると、私のカイザー病院保険はカイザー病院のみの保険なので、カイザー病院外で行われる治験への参加は自己負担となり、そうなると不可能ということになる。

でも、このワクチン治験では、治験に必要なi医療費は全てNCIが負担してくれ、さらに交通費や一部宿泊費も出してくれると言う。
もしIrvineの日立で治験が受けられなければ、他の州に4週間毎飛ばなければならないけれど、これなら可能。

2)ワクチン接種の方法

命がけのTIL(腫瘍内浸潤リンパ球)療法とは違って、こちらのワクチン療法は、1−3時間の注射器を使った白血球採取と採取した白血球から作られるワクチンを4回接種して終わり。ワクチン接種直後、インフルエンザにかかったような頭痛、発熱、悪寒等の症状が出るらしいけれど、リスクは少なく、入院は不要とのこと。

樹状細胞が含まれる白血球は、献血採血と似ていて、片腕から抜かれる血液は血液を分離する機械を通り、再び反対側の腕に戻される。

樹状細胞が含まれる白血球採取は、献血採血と似ていて、片腕から血液が抜かれると、血液を分離する機械を通り、再び反対側の腕に戻される。

3)効果

第一相の治験なので、人(HER2陽性癌患者)を対象にした研究結果はまだないということなのだけど、この治験の裏にある仮説とネズミを使った動物実験結果は、ワクワク心をはせるものだった。

Her2陽性患者にとって大切な癌分子標的薬であるハーセプチンやパージェタ、カドサイラは、HER2陽性癌の特徴であるHER2タンパク質のほんの一部だけにしか働かないのだそうだ。それに対し、ワクチンは複数の抗体を誘発し、HER2タンパク質をさらに広範囲で攻撃する仕組み。

HER2タンパク質の一部にだけしか働かない分子標的薬

HER2タンパク質(HER2 Protein)の一部にだけしか働かない分子標的薬(Tratuzumab, Pertuzmab)

分子標的薬よりさらに広範囲に働くワクチン

分子標的薬よりさらに広範囲に働くワクチンにより誘導される抗体(Antibodies)

左上よりワクチン接種後4日目、9日目、11日目、14日目、19日目、26日目

左上よりワクチン接種後4日目、9日目、11日目、14日目、19日目、26日目のネズミの癌腫

問題は、ネズミと人間とでは大きな差があること。ネズミで成功しても、人では失敗に終わる治験は多々あるらしい。

あー、ネズミだったらいいのに!

Minnie Mouse

怖いけど、やっぱりやってみたいワクチン治験

免疫機能に大切なビタミンD

樹状ワクチン治験ではビタミンDの値も血液検査で毎回調べるのだという。

説明書によると、ビタミンDが免疫機能に影響することははっきりしているので、ビタミンDの値が低い場合、サプリで補うことが指導されるらしい。

ビタミンDと少量のアスピリンが癌の予防に良いと言われているのは知っていたけれど、個人の免疫力を使うワクチンにビタミンDを絡ませるのは興味深いと思った。

治験は将来治療のため

第一相の治験だから、ワクチンが失敗に終わる可能性も大であれば、放射線被曝量の高いCTスキャンも、全身、胸だけじゃなくて、脳も骨も頻繁に取ることになり、ギニーピッグの感は免れない。

この春、大腸ガンで亡くなられたトリオの荒波さんは、治験参加を選んだ時、将来の患者さんのお役に立ちたいと願ったからとおっしゃったけれど、そう言う気持ちにならないとこの不安は乗り切れないような気がする。

今週の動き

治験の募集人数はわずか65人で、すでに30人が、ワクチンの安全性と適切な接種量を調べる第一相治験パート1に参加している。となると、残りの募集人数は35人。これこそ、もたもたしてると、募集が終わってしまう。

参加できるかどうかわからないけれど、気持ちは益々このギャンブルに傾きつつある。

主治医にこの治験に興味があることを伝えるため、治験先から受け取った資料を転送し、UCLAのハーセプチン発明者スレイマン先生にも意見を聞けるならと、予約希望の電話をした。

そして、もちろん全てをコントロールされる神様には、「これがあなたの御心であるなら、どうぞワクチンのドアを開けてください。」と、祈っている。

「ワクチン治験参加は協力できません」

ワクチン治験の資料を送った主治医からショックな返事が戻ってきた。

「第一相治験だからです。でもこちらにはもっと良い治験(遺伝子テスト適合治験)があります。」

受け取った数行だけのメールを眺めて心が騒ぐ。

主治医から返事を受け取る前日、昨日のこと。

たくさんの分子標的薬を使った私は治験の対象になるかどうか?アーバインの日立で治験を実施しているかどうか?等を尋ねる二度目のメールをNCI(国立癌研究所)に送ったのに、1週間経っても返事がこないけど、もしかして、参加者が満たされ、募集は打ち切りになったのかもしれないと、友達に話すと、ここは大胆になることが大切で、再度問い合わせるべきと、アドバイスを受けた。

今朝一番で、連絡先に書かれていた他の2名も含めて3人に返信催促のメールを送ると、1時間もしないうちに返事が来た。

分子標的薬を使っていることがむしろ治験参加者の条件であること。

ワクチンは個別に作るので、研究所のあるメリーランド州ベセスダだけでしか受けられないとの内容だった。

返事が来たということは、まだ参加者を募集しているということで、治験参加資格もありそう。

ならば、主治医と納得できるまで話し合うべきと、返事を出す。

「ワクチン治験を選びたい理由は

1)副作用の心配が少なく、安全

2)治験まで、治療を中止する期間はわずか2週間のみ

3)効果がある場合、その効果は他の何よりも期待できる

3)効果がなかった場合はすぐやめて、また他の治療に戻れば良い

4)脳転移のない今だから受けられる。(脳転移者は治験対象外)

遺伝子適合テストに乗り気がしないのは

1)治験参加まで10−12週治療を中断しなければならないけれど、その間癌が脳に転移した場合、ほとんどの治験への参加が不可能となる。

2)私の癌が治験に含まれている抗がん剤と適合する確率は非常に小さい。

3)仮に適合したとしても、その薬の副作用や効果については予測ができない。」

対面しながらだったら、食いさがる余裕も勇気もなく、仕方がないと、受け入れていたかもしれない。メールだからできた。

私はただの素人だから、知らないこと、わかっていないことがあれば、素直に受け入れる。でも、これは私の命に関わることだから、納得できるまでは質問し続けなければと思っている。

ここまで書いたら、主治医から返事が来て、来週のミーティングで、他の医師たちの意見を聞いてみるとあった。

考慮してくださるようだ。感謝!

ワクチン治験のドアが開いても、開かなくても、私を愛してくださり、いつも一緒にいてくださる神様を100%信頼している。これが神様の御心であるなら、ドタバタしなくても、奇跡はいつでも起きる。

神様の答えをまた辛抱強く待つ。

決断

ワクチン治験を選ぶことに決めた。

治験参加者募集は人数が規定に到達したら終了するから、治験参加のためには、それまでに必要な資料を先方に送らなければならない。

資料送付が募集終了までに間に合ったら、次にはそれらの内容が、治験参加の条件を満たしているかどうかが審査され、満たしていたら、いよいよメリーランド州のベテスダに飛んで、血液検査、CTスキャンを含む身体検査を受け、その結果、初めて治験参加できるかどうかが決まる。

治験参加が決まるまで、まだ先は長い。

2日前、主治医を訪ねると、先生は、ワクチンはまだ使える段階に来てると思わないので、遺伝子テスト治験の方が癌を抑える確率は高いと、再度、先に受け取ったメールと同じことをおっしゃった。

私もメール返信した時と同じように、ワクチン治験の方が割りが良いと思う理由を述べ、堂々巡り。

ワクチン治療は効かないだろうという言葉は、確かに気持ちに影響を与えたけれど、だからと言って、遺伝子テストの方が確率が高いという気持ちにはなれなかった。

先日のCTスキャンは半年ぶりではあったけれど、治療中でありながらも癌が数もサイズも一回り成長していたことを考えると、約3ヶ月もの間、無治療でいたら、どれだけ癌が成長するか?そして、そのあとには、何も当たる薬はないかもしれず、あったとしても、一剤だけの治療で、どれほど効果が期待できるか? 副作用がきつくて、治療を続けられない可能性だってある。

失敗に終わった時のコストを考えると、先生のおっしゃる言葉は説得力に欠け、このまま仕方ないからと受け入れても、良い結果が出なければ、きっと先生を責めるだろうと思った。

「どうしてもワクチンを試したいということであれば、保険の適用はないので、全て自費でということになります。」

そう説明されたのを受け、

「『協力できない』とおっしゃったのは、保険適用の認可はできないということだったのですか?だったら、先方が旅費も含めて治験にかかる費用は全て負担してくれるので、心配ないんです。」
そう答えると、
「あら、そうなの。それじゃあ試してみたらいい。」との返事。

メールに添付した資料に、このことは書いてあったのに、先生は、治験場所も知らなくて、第一相のワクチン治験だということだけで、早々と判断されたのだと思った。

もしかしたら、必要な情報はそれだけで十分で、石頭の愚かな患者だと思ったことでしょうけれど、最終的にはワクチン治験参加の許可が下りた。というか、医師に患者の選択を取り上げる権利はないから、仕方なく許可されたという方が正しいかもしれない。

医師の意見に反した選択をするのは気持ちが重い。
家に戻って、もう一度、ワクチン治験に関する資料を読み返してみた。
現在の治療が期待できず、治験を選ばなければならないのであるならば、当たった時の効果も、外れた時のリスクも、やっぱりワクチン治験の方が良いという、同じ結論にたどり着いた。

「もし、私が間違った選択をしているなら、どうかこのドアを閉めて私を止めてください。」

そう祈りながらも、2年前、イエスが癒しの奇跡を起こしたイスラエル、ベテスダでした祈りを思い出し、それと同じ地名のベテスダに行って、ワクチン治療を受ける自分を想像している。

アメリカ国立癌研究所

ワクチン治験に参加できるかどうかは、まだ分からず、ダメだった場合のことを考えておかなきゃいけないのに、ネットで治験場所であるNCI (National Cancer Institute=国立癌研究所)のことや、NCIがある ベテスダ(Bethesda)のことを知れば知るほど、治験参加できなければかなりガッカリするだろうに、 期待は大きく膨れ、心はワクチン治療に釘付けになって、他の策が考えられない。

ベテスダという名前は地元にあった小さな教会の名前から付けられたそうだけれど、その教会の名前は聖書(ヨハネの福音書5:2−18)に出てくるイスラエルのベテスダから由来している。

水が渦巻いた時に入ると癒しの奇跡が起きるとされるイスラエル、ベテスデの池の周りには、いつも大勢の病人や障害者が奇跡を求めて池の中に入る時を待っていた。
その中に、38年間、池に入りたいと願いながら、歩けないまま横たわっている人がいた。その人のそばにイエスは近寄り、「起きて、歩きなさい。」と命じられると、男はたちどころに癒された。

2年前、19世紀に考古学者によって発掘されたとされるこのベテスダの池跡を訪れた時、癌克服を願って、祈った。

メリーランド州にあるベテスダは,大統領官邸であるホワイトハウスのあるワシントンDCからわずか13kmの距離で、国の巨大な医療機関が集まって、まるで街全体が医療研究都市のよう。

初めて知ったのだけど、NCIはNational Institute of Health(アメリカ国立衛生研究所)の一部で、アメリカ国立衛生研究所は、「1887年に設立された合衆国で最も古く」「1万8000人以上のスタッフのうち6000人以上が科学者」という「医学研究拠点機関」(ウィキべディアより)なのだそうだ。「1995年末までに承認された抗癌剤の3分の2がNCI主導」で、今は癌遺伝子の研究に焦点が当てられていると言う。

ここと比べたら、私の通う病院カイザーはもちろんのこと、スレイマン先生がいらっしゃるUCLAだって比較にならないほどちっぽけに見える。

アメリカ癌研究本山であるNCIを是非訪れてみたい!医療都市ベテスダを是非訪れてみたい!

治験申し込みは、医師はしてくれず、自分で必要な資料や癌組織をやっと送り終えたところ。無事先方に届き、返事が来ると良いのだけれど。。。まずはそこから。

スレイマン先生からの助言

心配していたワクチン治験の必要資料は無事全て国立癌研究所(NCI)に届き、その返事として治験参加のためのたくさんの書類を受け取り、サインをして送り返した。

来週、次の手続きについて連絡がある模様。

一方、昨日はUCLAのハーセプチンを開発したスレイマン先生を訪れた。いつもだと、予約が取れるのは数ヶ月先になるのだけれど、今回は珍しく早く予約が取れた。

スレイマン先生訪問の目的は、主治医が乗り気でないワクチン治験について、そのほか、可能な選択肢についてご意見を伺うことだった。

まず、主治医が勧めた遺伝子検査により相性の合う薬を見つける治験について。

この治験では24種の薬が用意されており、遺伝子が合えば、癌の場所や種類に関係なく投与され、効果を調べることになっている。遺伝子検査の結果、相性の合う薬は複数見つかるかもしれないけれど、24種薬の表を見ると、私のタイプであるHER2陽性癌のために用意されている薬はTDM1(すでに2度も使用済み)とAfinitibという新薬だけに思われたので、このAfinitibについて効果のほどを質問してみた。
すると、これはハーセプチンとタイケルブを合わせたような効果しか期待できないとのお返事。
この組み合わせは2011年、全摘手術を終えた時から使用しており、癌の進行を許してしまっている。
やっぱり期待できる治験ではないようだ。

先生の一番のお勧めは、このブログにドイツからコメントを送ってくださったEさんが教えてくれた、免疫チェックポイント阻害治療という治験。
アメリカでもこの治験は行われているか?と質問したら、ロス市内のCedars Sinaiという、ユダヤ系のUCLA並に大きな病院で治験が行われているからと、担当医師の名前と電話番号を教えてくださった。

但しこれも第一相の治験なので、カイザー保険の適用は難しそう。費用がどれほどかかるのか、私は治験対象になるか、不明なことは一杯だけど、早速今日電話して、資料送付をお願いした。

ワクチン治験については受けても良いとのお返事。ただし、効果が現れるまでには時間がかかるだろうとのこと。
どれくらい?と質問すると、数ヶ月とおっしゃった。
ワクチン接種は4回で、最初の3回は4週毎、最後は8週後になるので、全て終了するまでには5ヶ月ほどかかることになる。それまでは、効果はわからないということなのかもしれない。
この間、癌は成長するのか?と質問したら、それはNCIで説明があるだろうけれど、とおっしゃいながらも「安定」という言葉を使用された。
癌は成長していく病気だから、ワクチン終了までの5ヶ月間変化なしで「安定」してくれるなら、これも効果の一つだと思う。私はそれだけだって嬉しいけれど、ネズミの実験では、癌が縮小する前に一旦癌は成長したとあったので、ここは微妙なところ。

治験に参加しなければ、私に残っている未使用の薬は後2つ。ハラベンとジェムザールのみ。これらの2剤を使用する場合、ハーセプチンが期待できないと思えるので、タイケルブを一緒に使いたいのだけれど、可能でしょうか?と質問すると、
「使えますよ。今と同じ分量を使用したら良い。」と答えてくださった。

ということで、大変役にたつご意見を伺うことができた。

明日は主治医訪問日。スレイマン先生のご意見を持参して、再度作戦を見直したいけれど、ワクチン治験はすでに審査が始まっているので、チェックポイント阻害治療治験の見通しがはっきりするまでは、このままワクチン治験を受けるつもりで進みたいと思っている。

前回スレイマン先生を訪問したのは約1年前。その時と比べると、手が届きそうな治療が増えた。癌治療は日進月歩の勢いで、確実に進歩しているということなのだろう。少しでも時間を稼いだら、いつか癌撲滅の日を見ることができるかもしれない。そう思って、頑張ろう!

免疫チェックポイント阻害剤療法

Cedars Sinaiから返事がないので、週が明けた月曜日、再度治験情報の催促をした。そしたら、翌朝一番で届いた返事は、「乳がんを対象にしたこの種の治験は現在うちの病院では行っていません。」と言うもの。

スレイマン先生のオフィスを訪れた後、Cedarsから返事があった今日まで、自己検索を続けてみたけれど、「免疫チェックポイント」で探しても、「PD1」で探しても、治験薬の名前、keytrudaで検索しても、トリプルネガティブを対象にしたものはあっても、HEr2陽性では治験が行われているのはヨーロッパだけで、アメリカでは一向に見つからず、Cedarsのウェッブサイトに絞っても見つからず、おかしいと思っていたので、この返事には「やっぱり。」という気持ちだった。

スレイマン先生のオフィスに、この受け取ったCedarsのメールを転送して、「間違いだったのでしょうか?」と尋ねると、助手の方から、「嫌、先日、担当医から、HER2陽性乳がんを対象にして治験を始めたとメールをもらっています。再度確かめてみてください。」との返事。

それで、再び、このメールを今度はCedarsに転送。次の返事を待っているところ。

検索によると、この阻害剤は、皮膚ガンと肺がん用にすでにFDA (米国食品医薬品局)に認可されている。日本の小野製薬からもオプシーボという名前で同じ働きをする薬が出ているらしいけれど、癌腫のPD-1と呼ばれる生物マーカーのレベルが高い場合、非常に良い効果が期待出来るらしい。
でも、副作用も怖いものが含まれていて、間質性肺炎が起きたり、腸に穴が開いたりする他、免疫組織ががんの代わりに健康な臓器、組織を攻撃し、死にいたる場合もあるのだと言う。

この薬の情報を教えてくださったEさん(子宮頸癌)は、効果も抜群なら、副作用もほとんどないとおっしゃっていたけれど、彼女は幸運なケースに違いない。過去に、免疫組織が逆に働いて、亡くなられた肝移植患者さんを見ている私としては、警戒心が強くなり、治験が行われていないならそれでもいいや、という気持ち。

そうなると、やっぱり残された望みはワクチンかも。。。

その後

「治験どうした?」

友達に会う度聞かれるのだけれど、答えはなんとも難しい。

ワクチンの治験は同意書にサインをして送り返したのは確か、2週間前だと思うけど、そのまままだ何も返事がない。

一方、免疫チェエクポイント阻害剤の治験は、何度か治験を行っている病院とやりとりして、やっと治験の名前と内容を確認した。でも、治験に使われている薬はドイツのEさんが教えてくださったものと違う。

こちらの治験で使われている薬はIbrutinib と MEDI4736との2剤。Ibrutinibは白血病などの血液のがんのためにすでにFDAに認可されている分子標的薬で、MEDI4736が注目のPD1阻害剤。こちらは非小細胞肺がんで治験が進んでおり、乳がんへの使用は今回が初めての模様。

他のサイトで調べてみると、MEDI4736はともかく、Ibrutinibは、内出血や血小板減少、感染、他のガン誘発など、なんだか物騒なことが副作用に含まれていて、ビビる。

一方、2日前のニューヨークタイムズには、PD1阻害剤の特集記事が載り、ホスピスを覚悟したホジキンリンパ腫の患者が、この薬を使用したところ、使用3日目で、がんが目に見えて縮小し始め、数週間で消え失せたとあった。ここで紹介されていたPD1阻害剤は小野製薬のオプシーボだった。

やっぱりPD1阻害剤は素晴らしい効果が期待出来るみたい。でも、乳がんへの適用治験はトリブルネガティブを対象としたものがいくつかあったけれど、HER2陽性ではほとんどない。

副作用が怖そうで、どうしたものかと迷うけど、Eさんによれば、PD1expressionと呼ばれる生物マーカーの値が高くないと効果が期待できないということなので、とりあえず、このPD1の値をどこで、どうやって調べることができるか、その情報をあちこちに尋ねている。

そして、主治医からは、また別の治験があると聞かされた。こちらは第二相でEntrectinib という分子標的薬。特定の遺伝子異常がある場合に効果があると言うから、これもまず遺伝子テストをしてみなければならない。

いろいろあるのは嬉しいけれど、どれもリスクが高くて迷う、迷う。あー神様、正しい治療へどうぞ導いてください!

ワクチン反応率は50%

「ワクチン治療はまだ良い結果が出ていない。」

主治医を始め、免疫チェックポイント阻害剤の特集を組んだニューヨークタイムズの記事も、その他あちらこちらで同じ声を聞いた。

UCLAのスレイマン先生は、ワクチン治験に反対はされなかったけれど、結果を見るまでに時間がかかるだろうとおっしゃった。

ネズミから初めて人に移って治験が始まったばかりでありながら、安全性と適切なワクチン接種量を調べるために、すでに30人の人がこの治験に参加している。

少しでも未知な部分を解消したいと、このワクチン研究者である国立癌研究所医師にメールを出してみた。

すると、以下のような返事がすぐに来た。

質問:スレイマン先生からワクチンの効果が現れるまでには時間がかかるだろうと聞きましたが、第一相パート1の治験ではどれほどかかったのでしょうか?良い結果は見られたでしょうか?

「抗がん剤や放射線療法は爆弾を落下することに例えられます。たちどころに的を狙い撃ちしますが、罪のない一般人(健康な細胞)をも巻き込みます。同じように戦争を例えにすれば、ワクチンは特別軍を訓練するような感じです。最初に敵を認知できるように訓練し、敵を討ち、武装する方法を訓練させます。だから、爆弾を落とすより時間がかかります。。。」

なるほど。これは分かりやすい説明だ。

「ワクチン接種量が中度(ワクチン1回につき縦状細胞数1億)、高度のグループ(ワクチン1回につき細胞数2億)10人のうち反応があったのは5人(50%)だった。
その内、
完全に癌が消えた人:1人 (現在76週目)
一部癌が消えた人:1人(44週目まで72%減)

変化なし、または安定の人:3人 (内一人は現在34週目を継続中)

ワクチンの効果はワクチン接種後8週毎にCTスキャンで調べるが、早い人ではこの最初のCTですでに効果が観察され、(ということは、ワクチン接種2回目ということ。)そうでなければ16週(ワクチン接種3回後)、2度目のCTで効果が観察された。

これらの患者さんは、いずれもHER2陽性癌でありならが、乳がんの患者さんは含まれていない。

HER2陽性乳がんの患者さんは今年の3月から募集を始め現在参加者は5人のみで、皆ワクチンを始めたばかりであるけれど、3人は安定。2人は癌腫が大きくなっているものの(予想内)陰が薄くなっており、癌が内側から死んでいるものと思われる。」

小さなデーターではあるけれど、反応率が50%というのは良い数字だと思う。特に、乳がん患者について言えば、結論を出すのはまだ早すぎるものの、反応率は100%にさえ見える。

ワクチンが効いているかどうか、16週目ぐらいにわかるのであれば、これもありがたい。

ひと昔前だったら、とてもこんな情報収集はできなかった。これもひとえにインターネットと、窓口を設けてくれている医師、研究者たちのおかげ。

治験大国であるアメリカに在住していることをも感謝しながら、元気の出たこのメールを主治医に転送した。

計画変更

後ろ髪を引かれる思いは止めないけれど、主治医が勧める分子標的薬の治験を第一に、ワクチン治験は第二希望とすることにした。

UCLAまで行って、教えてもらった免疫チェックポイント阻害剤治験は、ドイツのEさんが使って抜群の効果を現した薬Keytrudaとは別物で、( keytrudaは脳癌と発表した、元カーター大統領も使い癌を克服したのだそうだ。)まだ第一相の治験であることと、 自己免疫疾患や別の癌誘発という副作用がなんとも怖くて、これは将来の選択に残すことにした。

分子標的薬の名前はEntrectinibと言い、癌により異常をきたした特定のDNAがある場合に効果があるらしく、第一相治験では、反応率は75%だったそうだ。これはワクチンの50%より高い。
治験では、まず、癌組織をラボに送り、この薬が標的とする遺伝子異常があることを確かめる。これには2~3週間かかるらしい。

この結果、治験薬の使用は叶わないということになったら、ワクチンを試したいと思うのだけど、癌組織をラボに送るだけでも、すでに提出したワクチン治験の同意書を破棄しなければならないと言われてしまった。

折しも、国立癌研究所からは今朝、一月ほど前に送った癌組織が治験対象となるHER2陽性であることを確認したというメールが届いた。

次はいよいよCTと血液検査という段階まできたのに、全てを白紙にもどしてしまうなんて。。。
もし、DNAテストが適合しなくて、分子標的薬の使用はかなわないということになったら、また一からワクチン治験の申し込みをしなきゃならないんだろうか?そう思うと、そのプロセスにかかる時間がなんとも惜しい。

分子標的薬は、効果が続く限り使い続けなければならないけれど、ワクチンだったら4回の摂取で全ての闘病を終えられるかもしれないという、奇跡への夢もある。

それが私の心を揺さぶるのだけれど、ここは冷静に考え、少しでも確実な治験を選ぶべきと、計画変更することにした。

それにしても、治験参加とは、なんと時間がかかることだろう。治療中だからまだ余裕があるけれど、これが、治療に行き詰まっていたり、癌が進行していると知ってのことだったら、とてもじゃないけどやってられない。死んじゃうよ。

前進

治験に早く参加したいのに、二つの治験手続きの狭間に挟まって少しも前に進まない。

分子標的薬の治験は遺伝子テストから始まるけれど、それに参加するためにはワクチン治験参加への同意を破棄しなきゃいけないと言われ、遺伝子テストの結果がわかるまで、送った資料を全て保留しておいてもらえないかと、ワクチン治験を行っている国立癌研究所にメールを出したのは一週間前。

返事がこないので、その間、第一希望である分子標的薬治験を行っている私の通う病院カイザーの治験担当者にもメールを出し、同意書破棄ではなく、保留ではいけないか?と質問してみた。これが先週金曜日のこと。

今週に入って、カイザー側の別の人から電話やメールがあり、「ワクチン治験同意を破棄しなくても良いようにできるだけ協力したいと思います。」という言葉に、「なんて親切な!」と、思ったのだけど、何度かメールをやりとりしているうち、カイザー側の意向を確かめるために連絡を取れと言われて紹介された名前は、なんと最初に私に同意書を破棄しなければならないと言った同じ女性だった。

金曜日から3日かかって何度も複数の人とメールをやりとりして、結局また振り出しに逆戻り。

あ〜、ため息。。。疲れる。。

でも、諦めるわけにはいかない。再び、治験担当者に、「振り出しに戻っちゃったんですけど、責任者医師から返事ありましたか?」とメール。

サラの話

ここで思い出すのは、「あなたの(不妊の)妻は妊娠する。」と言う神の予告成就が待ちきれず、子供欲しさに、自分で勝手にメイドを夫であるアブラハムにあてがって子供(イシュマエル)を産ませてしまう旧約聖書、創世記に出てくる妻、サラの話。

結局サラはその数年後、予言通り妊娠し、イサクを生むのだけれど、こうなると、当然、この妾と本妻、二人の子供の間に確執が生まれ、イシュマエルとその母ハガルは家を追い出される。イシュマエルの子孫は後にイスラム教徒となり、イサクの子孫からはユダヤ教徒、キリスト教徒が生まれ、この二者間の対立はISISというテロまでも生み出し、今世紀にまで及んでいる。サラがもう少し辛抱強く、神を信じて待てばよかったのに、独断で動いたから、とんでもない結果になった。

私もサラと同じで、あれこれいじくり回しているから迷路に入り込んだように堂々巡りしてるのかも。。神様を信じて、ここは辛抱強く待つべきなのかも。。。

迷路を突破

ここまで書いたところで、今、再びカイザーからメールが入っているのに気がついた。
開けてみたら。。。
やったー!

分子標的薬責任者医師が、ついに、ワクチン治験への同意書を破棄しなくても遺伝子テストを受けて良いという許可を出してくださったとあった。

同時に、国立癌研究所にも連絡を取ってくれ、遺伝子テストの結果、治験薬と遺伝子が適合しない場合は、ワクチン治験参加のプロセスに戻ることができる了解を得たともあった。

さあ、これで晴れて遺伝子テストの同意書にサインできる。

第一希望の治験薬に届かない場合は、すぐにワクチン治験に移れる。

メールをくださったカイザー治験担当者医師の言葉。

「あなたがねばったから、堂々巡りに終止符を打つことができました。根気勝ちです。この調子で戦い続けてください。応援しています。」

神様、ありがとう!感謝!

再び停滞

治験参加とは、こんなにも時間がかかるものなんだろうか?

先週、すでに出したワクチン治験同意書破棄を回避し、遺伝子テストを受けることができると喜び、このテストへの同意書を提出したのに、確認の返事がこないと思って月曜日電話すると、「同意書は確かに受け取りましたが、残念ながらあれは無効です。同意書へのサインは私の目の前でしていただかないとダメなんです。」と、治験担当看護婦の言葉。

結局腫瘍科外来予約が入っている明日、サインのやり直しをすることになった。

せっかく前進したと思ったのに、また停滞、1週間を棒に振ったことになった。

いつ(過去の生検で採取した)癌組織をラボに送ってくれるのかわからないけれど、遺伝子テストの結果が出るまでには3週間かかると言われている。もし、癌組織が十分な量なければ、生検もやり直しだから、さらに時間がかかることになる。

仮に遺伝子テストをパスしたとして、その後にはCTスキャンを取り、その結果(普通1週間かかる)が良ければ、4週間の休薬期間を経ていよいよ治験薬投与となるから、この分だと、治験薬を受けるまでには早くても2ヶ月、下手をすればもっとかかることになる。

もし遺伝子テストで振り落とされたら、ワクチンに切り替えるけど、こちらもCTスキャンをワクチンに先立って取らなければならず、休薬期間は2週間でありながら、実際にワクチンにありつくまでにはやはり早くても2ヶ月はかかりそう。

この夏の終わりまでには治験参加できるだろうと思っていたけど、とんでもない。甘かった。

前回癌が進行していると出たCTスキャンからはすでに3ヶ月が経ち、本来ならまたCTスキャンの時期で、タイケルブを加えた抗がん剤治療の効果のほどを見るはずなのだけど、遺伝子テストの次からは頻繁なCTが待っているとなると、被爆量が気になってCTなどとれない。レントゲンでは?と主治医に質問したら、レントゲンさえも肺炎になった時、何枚も撮ったからと、医師は賛成しなかった。

もっとも癌が進行していても、治験を考慮しているこの時点では抗がん剤変更はありえない。返って、心配ばかりが増えるから、ここは知らぬが仏。放っておく方が良いのだろう。

自分の力では何もできないところにいるのであれば、今度こそサラのレッスンから学んだように、神を信頼し、辛抱強く待つしかない。

神様、あなたを信じていますから、治験参加を待つ間、どうかタイケルブが効いていますように!

 

200人に5人の確率

この夏、私は治験探しに明け暮れ、治験システムという難解な海の中を泳ぎ続けているようだ。

今日は腫瘍科医との定期検診に行って、分子標的薬の同意書に、治験看護婦立会いのもとサインをしてきた。
医師は、私の選択に満足のご様子で、会話は笑いを含めて明るく流れた。

検診の終わりに、何気なく質問した。
「何人ぐらいの方が(この治験に)参加してるんですか?」

「200人ほどの人が申し込みましたけど、遺伝子テストに合格した人は今のところ5人です。宝くじに当たるような確率ですね。ハ、ハ、ハ、」

「え〜、それじゃあ、本当にワクチン治験を破棄してしまわなくてよかったです。」

家に戻って、ジョージにそのことを伝えると、「200人中たったの5人?それでもドクターは参加する価値があると言うわけ?」と疑問を投げかけた。

「遺伝子テストで合格すれば、この薬が効く確率は75%だから。。。」と、答えてみたものの、時間が経つにつれ、私も疑問が湧いてきた。

今のタイケルブを加えた治療が効果を表していれば良いけれど、ワクチン治験にすぐに、確実に戻れれば良いけれど。。

先週はカイザーから、初めからやり直ししなくても、ワクチン治験には戻れることを確認したとメールを受け取ったけれど、これはまた聞き。私が自分で出したメールには返事をもらっていない。ここは自分で確認した方が良いと思い、国立癌研究所にメールを出した。

「私の治験参加の席は失わないで済むのでしょうか?ワクチン治験に戻る確率は高そうです。」

遺伝子テスト結果が出るまで最低3週間。テスト結果が適合と出る確率はわずか2−3%しかない。
それでもこのまま待つべきだろうか?時間の無駄ではないだろうか?

あ〜、またしても迷いが生じてきた。

祈って、祈って、祈て、答えを求めるしかない。