ワクチン治験を選んだ訳

期待と現実のギャップ

ネット上のバーチュアル癌コミュニティーInspireの中に、第一相治験参加者の期待と実際の効果との間には格差があるという記事を読んだ。

この記事によると、第一相治験参加者の治験参加動機は、
1)癌縮小を願うから
2)医師に勧められたから
3)選択肢がなくなったから
4)将来の医療に役立ちたいから

等が主で、3/4の参加者が病気の改善を期待するのに対し、実際には、第一相治験薬の(やや縮小や安定も含む)反応率は4−20%で、最終的な生存率は6ヶ月というのが普通なのだそうだ。

記事を読んで、私の通うカイザー病院が第一相治験を支援しない理由が納得できた。

でも、これらの乏しい数字は驚きではなかった。癌治療が日進月歩の勢いて進んでいても、癌撲滅というゴールにはまだまだほど遠いことを長い癌闘病で学んできたから。

ワクチン希望の理由

私に治験考慮を薦めたのは、私の治療選択肢がなくなってきていることを心配した主治医だったけれど、その主治医が信じないワクチンをなぜ私は敢えて選んだのだろうと、考えてみた。

第一の理由は、多くの治験が研究中の新薬の効果を既存抗がん剤のそれと比較する形を取るため、すでにそれらの既存の薬を使ってきてしまった私は対象外で、参加可能な治験は第一相のものを除いて、ほぼ無しに等しかった。第一相治験ではカイザー保険は使えない。でも、ワクチンは治験場所が国立であるため、治験参加費用の心配がいらないことがわかったから。

第二に、終わりのない副作用に疲れてきたから。特に末梢神経障害で、走ることも正座することもままならなくなって、ワクチンなら、副作用は接種直後のインフルエンザにかかったときのようなリアクションだけで、体を休められるのでは?と思ったから。(もっとも、検査に心エコーが入っているので、心臓への影響の可能性はあるらしい。)

第三に、2011年に、3年以内に乳がんワクチンができるかもしれないとニュースで知った時から、その日が来るのをずっと期待して待っていた。そして、ついに国立癌センターで治験が始まったことを知ったから。

第四に、治験担当医が説明してくれたワクチンの理論と仮説、動物実験の素晴らしい結果、そして乳がん患者募集前に、すでに第一相パート1として始められた、人を対象にした治験結果(反応率50%)にとても説得力があったから。

そして、最後に、2年前イスラエル旅行で訪れ、完治を祈った奇跡の癒しの池遺跡の名をとったベセスダという地名に惹かれたから。

第一相であるワクチン治験に多くのリスクがあることは重々承知している。最悪の場合、ワクチンが効かなくて、癌が4回の接種を終了するまでの6ヶ月間に、どんどん成長し、手のつけようがなくなる場合もありえる。その時は手遅れになる前に治験から外れて、後2種残ってる既存抗がん剤に変更したいと思っているけれど、それまで、少なくとも将来のためにデーターを提供できたら、私の時間は無駄にはならないと思っている。

1年後の新薬認可まで

来年の今頃には、HER2陽性乳がんを対象にした新薬がまたもう一剤FDAの認可を得るらしい。それまで繋げられたら、万々歳。

神様は今日までずっと私を守り、導いてきてくださった。神様のなさることは間違いがなく、完璧。そうであるなら、これから始まる大冒険も、何が起きようと、きっと神様は私と一緒。そう信じて、5日後に迫ったベセスダ出発の日を待つ。

5 thoughts on “ワクチン治験を選んだ訳

  1. こんにちは。ワクチン、治験を受けることが出来て効果があることを願っています。
    ステージ4の方でエンドレスの抗がん剤に体力、気力が失われたり、標準治療で行き詰まった人には、副作用が軽い標準治療外の治療(いわゆる代替療法ではなく)の研究、実用化が心から望まれます。10月22日に癌治療学会共催のがん撲滅サミットという講演会イベントが開かれます。そこで低用量抗がん剤治療、血管内治療を行う個人クリニック の2人の医師(どちらも健康保険治療)が卵巣がん患者会の反対のため、公開セカンドオピニオンで登壇できなくなりました。エビデンスのない治療に学会はお墨付きを与えるのか?という理由です。エビデンスはなくても、ステージ4の患者の為の副作用の軽い新たな治療可能性が潰されるようで残念でした。メールいたしますね。

  2. いよいよですね!

    どうか治験を受けられて いい結果が出ますように!

    私も もう手術ができないので 血管内治療を 来週受けます。
    結局 同じ治療が ドイツで 受けられたので 日本には行きませんでしたが 日本の国立がんセンターで 予約を入れた時

    ミラクルみたいな治療だと思われたら 困ります、と言われました。

    わたしは 日本の状況もわからないので どういうことか よくわからなかったのですが。

    わたしの場合、もう治療法もないし 少しでも 延命してもらえれば、と思って。
    そうやって繋いでいるうちに
    新しい 治療法が見つかるかもしれないじゃないですか。

    そう思う患者の気持ちを潰すことってどうかなぁと。
    希望は 生きて行く力の大事な 部分を占めるんですから。

  3. Eさん、
    ”希望は生きていく力” 全く同感です。そして、イエスを信じる者には、死の向こうにも希望があるのです。それを忘れなかったら、仮にどの医者からサジを投げられたとしても、力に通じ、奇跡にも通じるかもしれません。そして、現実に死と出会う時も、悲しみを乗り越えることができると信じます。治療の成功を祈っています!

  4. じゅんさん

    応援をありがとうとざいます!ステージ4、転移患者への研究のみにかかわらず、副作用の少ない効果のある治療は癌治療研究の最大の課題であるに違いありません。一方、癌治療情報はピンからキリまであることも事実です。どの治療を信頼するかということは、本人次第ですが、癌治療学会のような大きな団体が支援する場合、やはりエビデンスを条件とすることは致し方ないと思います。たとえエビデンスのない治療で延命できた人がいたとしても、それを一般化することが安全かということになると、話は変わりますからね。治験に第一、二、三とステージがあるのも、一般化できるかどうかのエビデンスを固めていくためでしょう。第一ではそのエビデンスが動物実験でしかないわけで、それで大きな賭けになりますね。ご意見ありがとうございました!

  5. ご丁寧にメールまでありがとうございました。
    アメリカの場合は、とにかくFDAが認めないとダメなんですね。その分若干の減量とか医師の裁量に任されて融通がきくのは良いですね。日本の場合はワクチン治療も治験は見かけないし、その辺りの研究が進んでいないようです。アメリカで認められると数年後に日本に入ってくる可能性があるので、成功を大いに期待したいです。標準治療外のものには本当にインチキなものから、効果が期待できるが症例が少ないだけ、までいろいろあります。書かれた通り学会に認められるにはきちんとした研究報告と結果が必要です。低用量の医師は今度の癌治療学会のシンポジウムで研究を発表されます。その効果が注目されれば、ちゃんとした臨床試験へと進む可能性があります。一歩一歩です。

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