笑顔

自閉症かもしれないと心配するお母さんに連れられて、検査を受けに来た1歳半の男の子が、「笑って」とお母さんに言われると、目を細め、口を左右に広げて笑顔を作ってみせた。

表情が可愛くて、通訳をする私も、思わずニコッとしてしまう。

88歳の母がスカイプのスクリーンの中で、笑顔を見せる。皺だらけの顔なのに、やはり素敵に感じられ、こちらも笑顔を返す。

笑顔は、涙や、気難しい顔と同じように、すぐさま相手に伝染する。

涙顔だったり、眉を寄せて、難しい顔をされると、こちらも同じように気持ちが沈んだり、緊張した気分になる。

でも、笑顔を見せられると、仮にこちらが沈んでいたり、心配ごとがあったりしても、気分が明るくなる。

コラムニストで、倫理、政治、宗教に関する本もたくさん出版しているユダヤ人のDennis Prager (デニスプレガー)は、ニコニコ明るい気分でいることは、周りの人たちを幸せ気分にするために大切な義務であると教えるけれど、その例の一つとして、レストランに行って、ウエイトレスが悲しい顔や、難しい顔をしていたら、お客は食事を楽しめないと言った。

確かにその通り。

病院に行くと、看護婦さんはいつも笑顔を作って迎えてくれるけれど、そうでなかったら、ただでさえ、病院は避けたいのに、ますます足が遠のいてしまう。

内心は、ムシャクシャしていても、そのことから一時目を離し、気配りを優先したら、笑顔も無理にではなく、自然と作れるんじゃないだろうか?

19歳で、脳がん(グリオーマ)のために1年前亡くなったローレンの最後の写真は、死の数日前でありながら、笑顔で手を振っているものだった。

現実を否定するのではなくて、暗闇の中にあっても与えられる恵みに目を向けたら、感謝の気持ちが湧いて、笑顔が作れるんじゃないだろうか?

癌はもちろんだけど、そうでなくたって、死が近づいてくると、希望はしぼみ、苦痛、不安は増大する。

それでも、私も、絶えず光を与えてくださる神様に焦点を当て続け、死の向こうにある希望に目を向け続け、最後の最後まで笑顔を作っていられるようでありたい。

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