ペパーとの最後の晩

ペパー#1

ペパーの体から命がはなれていく。
時が一刻一刻と刻む度、ペパーの命も一歩一歩遠くへ去っていく。
2日前に突然自分の力で立ち上がれなくなって、病院へ連れて行った。
24時間点滴をして、迎えに行ったら、獣医から「昨日より状態はよくなった。もうしばらく一緒にいられるでしょう。」と言われ、缶詰のドッグフードも受け取って、元気になったペパーが、奥の部屋から歩いてでてくると期待した。
なのに、ペパーはアシスタントに抱かれてやってきて、車に乗せたら首をもたげることもできなかった。
浮き上がった気持ちは、たちまち沈んで、底知れなく重たくなった。
犬の一年は人の7年に値すると聞いている。ペパーは15歳だから、この世での時間が終わりに近づいていることは明白。
でも、獣医の言葉に夢を見た。
家にたどり着くと、分かったらしく視線をあわせる。
「おうちだよ。」と話しかけ、抱いて家に入る。
ファミリールームの陽だまり、水と餌のそばにペパーの布団を動かし、庭に通じるガラス戸を開けて、ペパー を寝かした。
ここが一番気持ちが良い場所のはずだから。
獣医をしている日本の義弟にペパーの血液検査の結果を送りながら、「苦しませるのは可哀想」とこちらの獣医に言われたけれど、安楽死をどう思うかとメールを打つ。
そしてファミリールームに戻ったら、お布団が空っぽでペパーがいない!
庭をみたら、ペパーが倒れている!
全身の力を出し切って、庭に出たんだ。
「ペパー」と呼ぶ私の顔を、瞳だけが動いて認識しているようだった。
再び抱きかかえるペパーの体が軽くて、涙が落ちてきた。
何よりも食べることが大好きなのに、餌どころか、水も受け付けない。
「神様、ペパーが苦しみませんように。ペパーと一緒にいれた長い時間に感謝します。ペパーをありがとう。」と祈ると、ペパーが元気に走り回っていた頃の姿が思い出されて、ポタポタとペパーの上に涙が落ちた。
私たち家族のうれしい時間も悲しい時間も見つめてきたペパー。
癌になってから、どれほど慰められてきたことか。ペパーTorrance Beach.

聖書には、動物のことは書かれていないけれど、こんなに忠実な生き物だもの。神様はきっと人と同じように、新しい体を授けて、神の御国で永遠に生きられるようにしてくださるだろう。
私より先に行って、私の番がきたら、きっと風のように快走して迎えてくれるだろう。

明日は長男の誕生日をここで祝う予定で、子供達がやってくる。
たとえ、ペパーの体が脱け殻になってしまっても、最後のお別れを皆としようと、ジョージが言った。

瞳ももう、動かなくなり、小さな体は、わずかに浮き沈みを繰り返している。でも苦しそうには見えない。
ペパーの物語は終わらない。慈悲深く愛に溢れた創造主がおられるから、彼のそばに行って、ペパーの物語は永遠に続くと信じる。
「神を信じるものが一人も滅びず、永遠の命を得られるようにと、神はその独り子をこの世にあたえてくださるほど愛してくださった。」(ヨハネ3:16)
聖書の言葉を思い出しながら、ペパーと、ここでの最後の晩をともに過ごす。

Peppar 2012  ペパーソックス

中央の赤い靴下がペパー用。もう一度いっしょにクリスマスをという願いはかなわない。

2 thoughts on “ペパーとの最後の晩

  1. うちの犬もそろそろ老いてきたので、他人事じゃなく感じました。
    ペパーちゃんもうちの犬も、神様の愛する大事なワンコです。
    その大事なワンコを、神様はあえて私たちに預けてくださったんだと思います。
    愛する私たちが幸せになるように、神様の愛をいつでも感じられるように。
    だから、私たちには一時的に寂しくはありますが、神様は愛するペパーちゃんを守って、永遠の命に迎えてくださると信じています。
    偉そうなことを申し上げてすみません。
    その時までペパーちゃんが穏やかに過ごせますよう、家族のみなさんの悲しみを神様が癒してくださいますよう、心からお祈りします。

  2. ペパーちゃん、可愛らしい!
    お別れは、胸を締め付けられるほど辛いですが、たくさんの想い出に感謝ですね。
    どうか、心静かに、穏やかに、和世さんが元気が出ますように・・心から祈っています。

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