気配りが福を呼ぶ

金曜日、母の日のお祝いのため、義母を訪ねた後、介護ホームに入居している義父も訪ねた。

ここの入居者の一人にエバという今年98歳になるおばあちゃんがいらっしゃる。

車椅子に背中を丸くして腰掛けているその表情はほとんど変化がなく、お話も、モソモソとして、私には全く理解できないのだけれど、いつもきれいにまとめた髪に、大きなリボンをつけて、化粧もしていらっしゃれば、ネックレスも指輪もはめて、爪だって赤くマニュキアをして、それは可愛らしい。

昨日も赤いスカートに赤いカーディガンを羽織って、まるでお人形さんのようだった。

「こんにちは。御加減いかがですか?」と顔を近づけて挨拶すると、床に落とした視線は動く事がないまま、「アー、ウー」と、低い声で何かおっしゃる。

車椅子を押すお嬢さんが、「『あなたはお元気そうね』って言ってます。」と通訳してくださる。

そばにいた義父が皺だらけのエバの手を握ると、また「アー、ウー」と何かおっしゃる。「『彼は私のプリンスチャーミング』って言ってますよ。」とお嬢さんが言ったところで、皆の顔がほころんだ。

一人で歩くこともできなければ、身支度も、食事さえもできない。ただ車椅子に座っているだけの毎日だと思うのに、文句を言わず、依然気配りを知っていらっしゃるエバさん。

前向きに生きるか、悲観したり、恨みつらみを重ねて生きるかは、状況次第ではなく、私たちの意志によるのだとまたも思った。

エバさんのような暖かい人の回りには、たとえ目がみえなくなっても、耳がきこえなくなっても、話ができなくなったって、自然と人が集まってくるのだろう。

癌が末期になるにせよ、老衰していくにせよ、どんな形であれ、死が迫ってくるときは、体がぼろぼろになっていく。でも、車椅子になっても、ベットに寝たきりになっても、最後の最後まで、会う人たちに「お元気ですか?」「ご苦労様」と、労をねぎらい、感謝し、人のために祈り続けることができたら素敵だと思う。

土曜日の夜は子供達と二人の留学生が集まって、母の日を私のためにお祝いしてくれた。「幸せ!」と、うれしさを噛み締めながら、アメリカで学んだ一番大切なことーー大事な人たち、そして神様に、どんなに感謝しているか、その気持ちを言葉や態度で表現することーーーを、私もいつも実践し続けていきたいと思った。

母の日2013

 

 

 

 

 

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