July, 2011

母がやって来る

84歳の母が日本からまもなく、7/6にやって来る。本当は、私が日本に行きたかったのだけど、今年も治療の延長で、帰省のメドがたたないでいたら、従姉妹や妹たちが説得して、「もう齢だから、無理。」と言っていた母をかつぎだしてくれることになった。

確かに腰が丸くなって、足もすっかり弱くなった母だが、妹が前日、母のところに泊まり込んで、母を浜松駅まで送り出し、そこからは、3人の従姉妹たちが面倒みてくれることになっている。

母にとっては、これが最後のロス訪問となるだろうし、3人の従姉妹たちをロスに揃って迎えることも、恐らくこれが最初で最後だろう。わずか一週間の滞在だけど、思いっきり楽しい時間にしたいと、旅行が決まった一月ほど前からいろいろ計画を立て始めた。

従姉妹たちは、私や、高齢の母に気を使い、ただ、私と会えたらそれでいいと、観光リクエストもなく全く謙虚。家を出て独立した息子たちも一緒に母に無理をかけないで楽しい時間を過ごすためには、お決まりの観光コースに毎日出かけるより、どこか美しいところに貸別荘を借りて、のんびり過ごすのが一番と、貸別荘探しを始めた。
車で3時間以内の範囲で、暑くなく、自然の美しいところと、探しついたのは、ロスの北にあるサンタバーバラとソルバングというデンマーク村。それでも、夏休みの始まったこのハイシーズンに、週末2泊のみでの貸別荘探しは、予想通り難しく、何十件とあたって、全て空振り。あわやあきらめるしかないかと思っていたところ、やっと一件、「まだ予約可能ですよ。」と返事がきた。

エアコンもバスタブもなく、シャワーだけだけど、家主はとても親切で、良心的。

「乳がんの治療で日本に帰れないので、代わりにこちらにやってくることになった母たちと思い出に残る旅行をしたくて。。」と、説明すると、「そんな特別な旅行のために私の家を利用してくれるなんて、私にとっても大光栄です。私の母も75歳で乳がんやったけど、85歳になる今も元気ですよ。あなたも大丈夫!お母様共々、お会いできるのを楽しみにしています。」と返事をもらった。

母たちとの再会も、ソルバングへの旅行も可能となって、これは神様が私の願いを叶えてくださろうとしていると思い、様々な心配事には蓋をして押し入れの中に押し込むことに。どうか母達の滞在中、何事もなく、安全で楽しい時間を過ごせますように!

泊まる予定の貸別荘

矢のように過ぎ去った一週間

家中をお花で飾り、ベットにはフレッシュなシーツと枕を用意、大型レンタカーを借りた。あまり歩けないという母のために、車椅子の手配もして、いよいよ空港へ。

1時間以上待っても出迎えゲートに母たちが出てこないので、これは母に何か起きたのかもしれないと心配する私やジョージの予想を裏切って、2年ぶりに会った母は杖さえもいらず、すたすたと笑顔で歩いて出て来た。

これが私たちの楽しかった一週間の始まりで、昨日帰路につくまで、教会の人たちとのロスアンゼルス港のクルージング、聖書勉強会の生徒さん、ジョージのお母さんと一緒のドライブ、息子たちとの2泊3日のソルバングへの旅行、最後はロス市内観光と、めいっぱい行動した。

貸別荘キッチンで朝食の用意                                夜は息子たちがBBQ    

その間、私たちは毎日よく笑い、よく食べ、よく歩き、よく買い物をし、そして、台所狭しと、共に料理した。

夜は息子たちがBBQ

「それ、私も着てみたい。貸して!」「70%オフだったから日本円にしたらxx円よ!お買い得だったよね!」等と、買い物を楽しんだ晩は、買った洋服を代わる代わるお披露目してファッションショー。

またある晩は、継父であるジョージが語る大変だった親業や、信仰で救われた話を声を静めて聞き入り、涙を流すほどに皆感動。

息子たちがソルバングに合流してからは、7月生まれの義娘ピンキーと8月生まれの母の誕生日も祝って二人を驚かした。

ケーキのキャンドルを吹くピンキーと母

暑さは全く気にならず、母も私も元気で、最後まで最高に楽しかった!!
「ジョージがついていてくれるから、和世はこうして強くいられる。ありがとうございます。」と母が礼を言えば、

「和世がいつも笑顔でいれるのは、彼女の信仰が強いから。1年以上にもおよぶ闘病生活はヒヤヒヤの連続だけど、神様はいつも私たちを励まし続けてくださって、今週はこうして皆をここへ送ってくださった。和世のために来てくれてありがとう。」とジョージも一人一人に礼を返す。

通訳をする私も、テーブルの回りに座っている皆もジーンと胸があつくなって、涙もポロリ。

こうしてめでたし、めでたしで終わった1週間、「また来年も来てね!」と見送った後の今日は、さっそくハーセプチンの点滴と心エコーを取りに病院へ。

タイケルブは3錠に増やして10日が経ったが、幸いまだ湿疹は出ていない。\(^0^)/

笑うと免疫力が高まるというけど、従姉妹たちとホントによく笑ったから、このままタイケルブを続けられるといいな!

Santa Barbaraのダウンンタウンでランチ

東北大地震と私に共通するもの

福島県から地震の被害にあった教会の牧師が来るからとスーザンに誘われ、彼女の教会へ出かけた。

紹介された、薄グレーのやや長めの髪をした40代と思われる佐藤牧師は通訳者のために、ゆっくりと、短いセンテンスで、わかりやすく話を始めた。

原発から5キロ内にあった教会には避難命令が出され、津波で教会員も亡くなった。避難所では食事や暖に欠ける生活を強いられ、大事な家族や住む家もなくなったのに、「なぜ神様はこんなひどい事を。。」と、文句を言う人は一人もなく、むしろ「神様が一緒にいてくださる。ありがたい。」と感謝の言葉が溢れ、洗礼を受けようと決心した方が8人もいたと言う。

天地を創造された神様は、私たちから災いを取り除かれる代わりに、私たちのそばにきて、共に雨あられの中を歩むことを選ばれる。

遠藤周作の「沈黙」を3回も読んだという従姉妹が、「あんな惨いめにあいながら、なぜ神を信じられるのか、それがわからない。」と質問した時、ジョージは、次のように答えた。

「この世から不幸を取り除こうとすれば、神は人間から自由意志を取り去らなければならなくなる。神は私達を愛しているから、ロボットではない、自由意志を私たちに与えてくださった。そして、自由意志を取り去る代わりに、苦しむ者のそばに寄り添うことを選ばれた。遠藤の作品はそれを伝えている。」

神は地震や津波を止められなかった。私は癌になり、癌はなかなか消え去らない。でも、地震や津波に襲われた被害者の人たちが、感謝の気持ちで溢れ、神の臨在を感じるように、私も神がいつもそばにいてくださっていることを感じ、心強くなる。

「私は乏しいことがありません。。。。たとい、死の陰の谷を歩くことがあっても、私はわざわいを恐れません。あなたが私とともにあられますから。。。」

佐藤牧師たちは、このダビデの詩編23章を文字通り体験し、そして、癌の私も同じように、この言葉に共感する。

この世に不幸は溢れているけれど、神は決して「沈黙」してはいないんだ。

スーザンの教会は、この佐藤牧師の教会のために約300万円の義援金を集め、送ったという。

神様はいつだって素晴らしい!

日本料理紹介初挑戦

「和世さん、私と一緒に日本料理の紹介しませんか?」

近くの図書館で、様々な国のお料理を紹介する講習会が開かれており、昨年、日本のお弁当を紹介したと言う美紀さんからお誘いを受けたのは数ヶ月前。

癌になってから、数ヶ月先の事は見当がつかず、間際にならなければ予定もたてられない。でも、せっかく誘っていただいた貴重な機会と、「もしかしたら突然不可能ということになるかもしれませんけど、」と、条件付きでお仲間に入れていただくことになった。そして、昨日、楽しくその日が終わった。

美紀さんはまだアメリカに来てわずか1年半たらず。2人の小さなお子さんがいらっしゃる若いおかあさん。なのに、栄養士の資格を持っているという彼女は、大学3年生のとき、農協の主催するお米をつかった料理コンテストで優勝し、その賞金で、2週間のアメリカ旅行をし、大学卒業後はシャープの、料理機器の開発部で10年以上も活躍されたという。130人もの人が集まったお子さんの誕生パーティーではお料理を全てご主人様と手作りでこなしたほどの驚くべき料理の達人。

その彼女の主導で、昨日のお料理教室では、ちらし寿司と、つくね、あんみつを紹介した。

50人分の席を用意した会場は、満員。私はあんみつの担当だったのだけど、講習会開始5分前になって、試食用の50人分の寒天を忘れてきたことに気がついた。

どうしよう!とても家まで取りに戻ってる時間などない。

とっさに、裏方を手伝ってくださるかおりさんに、代わりに家に行ってもらうことを思いつき、カギを渡してお願いした。数日前、我が家で打ち合わせをしたので、彼女は私の家がどこにあるのか知っていた。

かおりさんの他に、たまたま日本から遊びに来ていた旧友の真紀子さんが、「日本人として、ぜひ私もお手伝いしたい」と飛び入りしてくださっていたので、かおりさんがいない間も助っ人はいる。よかったー!

しかし、その後も、用意していたビデオがITの不手際で見せられなくなったり、美紀さんと何度も前日まで手を入れた原稿を、美紀さんの手さばきに見とれて半分はしゃべるのを忘れた。

もう、私、何やってるんだろう!

でも、できあがったお料理は大好評。

癌闘病者である私にとって、栄養や料理は今までになく大切と自己紹介したら、講習会の後、「私も癌でした。サバイブして10年になります。がんばってください。」と、励ましの言葉までいただいた。

私が入ったことで、返って美紀さんたちにはハラハラさせてしまったんじゃないかと反省しつつも、私自身にとっては、とても興味深い楽しい体験だった。料理への意欲もさらに高まって、今日はお三度も楽しい!:-)

日本料理クラス案内ポスター。写真に映っているのは美紀さん制作のちらし寿司。

また…出血

母たちが来る2週間ほど前再び不正出血があった。今年2月以来のこと。

出血が、小さなスポットから、鮮明な赤になって、婦人科の検診を受けたのは6月30日。

子宮筋腫や卵巣腫瘍で、とうの昔に子宮と卵巣の一つは摘出している。

「おかしいですね。特に異常はないように思えますが、念のため超音波テストをしてみましょう。」と言われ先週超音波テストを受けた。

結果はシロ。異常なし。

尿検査も異常なしだったのに、なんだったんだろうと思っていたら、昨夜再び出血をみた。

ハーセプチンとタイケルブを取っているのだから、癌が原因とは思いたくない。タイケルブの副作用だろうか? 2月の出血のときは膀胱炎の薬を終えた時だったけれど、今回も膀胱炎になって、薬を2週間続けた。膀胱炎の薬と関係があるんだろうか?

2日ほど前から放射線をあてた左鎖骨のあたりが痛むのも気になっている。鏡でみると、右側に比べて、少し腫れているように思える。

リンパ水腫だろうか?

主治医にまたメールする必要が出てきた。

いよいよタイケルブを4錠に増量

ひどい湿疹がでて、「アレルギーがあるかもしれない」、だとすると「ショック死するかもしれない」、「次に湿疹が出たらもうこの薬は断念」と、心配させられたタイケルブ。少量から徐々に体を慣していく作戦が功を奏しているようで、2錠から3錠に増やして3週間がたっても湿疹がでない。それで、月曜日からいよいよ4錠に増加した。

タイケルブの処方量は3錠から5錠、様々だそうで、私は医師が4錠と言ったのを、「いや、5錠の方がよくないですか?」と言って、5錠でスタートした。でも、湿疹で苦労して、今は4錠で続けられるのなら、癌が再び見つからない限り、このまま4錠のままで良いと思い始めている。

タイケルブはハーセプチンと同じ、癌の細胞だけをやっつける分子標的薬(抗体薬)であるはずなのに、ハーセプチンと比べると、いろいろ副作用がある。

下痢と湿疹がともかく筆頭。その他、手足の指先がドライになって、皮膚が堅くなり、割れ目ができた。でも、Tea Tree Oilを塗って、足はソックスを履いていたら、効果があって割れ目は塞がってきた。指先も水仕事のときには手袋をするよう心がけている。

Tea Tree Oil

爪が弱くなって、縦に割れるのはナベルビンの時から続いていることだけど、タイケルブの量が増えてきたら、指先のしびれや、セーターを肌にじかに着たとき感じるような、チクチクという不快感も感じるようになってきた。このチクチクという感じは特に温度が上がるとき、例えば暑い車の中に乗ったりとか、またはころびそう!とか、危ない!とか、ヒヤットさせられるときに起きる。神経に影響でてるってことなのかも。

凄まじい湿疹が現れた前回は、こんなチクチクが前ぶれだったので、服用量を4錠に増やした今、また10日ほどすると湿疹がでてくるのかもしれない…怪しい兆候。

さらに、タイケルブは肝臓にも負担をかけるらしいので、血液検査で肝臓機能を定期的に調べてもいる。

体をタイケルブに馴らす作戦が、肝臓にも功を奏してくれるとよいけれど、仮にこれから湿疹が出るとしても、少なくとも、3錠はいけることがわかったから、タイケルブ断念だけは回避できそう。

血液検査、尿検査は異常なし

不正出血の原因を調べるため、昨日は再び尿検査をし、さらに血液検査も受けた。どちらも結果は異常なし。うれしい知らせに違いないのだけど、ならばいったい何が原因なんだろう??

鎖骨付近の痛みはだいぶなくなってきて、痛みとともに、腫れもひいてきているような気がする。でも、私のメールを受けて、主治医は私の外来日を3日早めた今週金曜日にしてくださった。

ここ2−3日私の住んでいるトーランスも暑い日が続いている。(と言っても、最高気温は28度前後なので、日本に比べたらまだまだ過ごしやすいはずなのだけど。)そのせいか、手に浮腫がでている。リンパ水腫は気温が上がると悪化しやすいと聞いているから、鎖骨付近の浮腫も、この手の浮腫と同じ、リンパ水腫と関係あるのかもしれないと、今夜は手を高くあげて、リンパ液の循環を助けるマッサージにせいを出す。

ベストセラー作家との一夜

これも神様のくださったギフトだと思う。

“The School Of Essential Ingredients ”でベストセラー作家となったErica Bauermeisterさんが新しい本、“Joy for Beginners (初心者たちへ喜びを)”の宣伝にシアトルから来るからと、ディーディーに誘われて、彼女の家にでかけた。

Ericaさんの新作”Joy for Beginners"

ディーディーはEricaさんのおかあさんで、私をいつも応援してくれる教会の人。

夜7時、背の高い木立に囲まれた、静寂なディーディーのおうちには、30人ほどの人たちが新鋭作家のお嬢さんに会うため集まってきた。

広いお庭のパティオに手作りのお菓子と飲み物を用意して、Ericaさんとディーディーが私たちを暖かく迎えてくださる。

あたりが暗くなると、天井の高い家の中に入って、オレンジ色のランプの下で、いよいよEricaさんの語り聞かせが始まった。読んでいるのは、もちろん彼女の新作。

数週間前、ディーディーがプレゼントしてくれたこの本を、私はこの日に先駆け半分ほど読んだ。

美しい、まるで澄み渡った音色のような語彙。大きなスクリーンでも見ているような、微細な表現。こんなに繊細な文章があるんだ。流石ベストセラー作家は違うと、まずその表現力にひどく惹かれた。

ごくありきたりの出来事が、彼女の鋭い観察力と、想像力を通り抜けると、とっても愛しく、神秘的になる。

ディーディーは、自分のおかあさんから受けとった何箱もの児童図書を、4人の子供が生まれるずっと以前から用意していたと説明してくれたけれど、よく手入れの入った色とりどりの花やフルーツの木のあるお庭を眺め、そして完璧なほどの心尽くしに、きっと子育てもこんな風に、全霊を込めてしたんだろうな、Ericaさんの想像力と、美しい表現力は、そんなディーディーの子育ての結果なんだろうな、と思った。

最愛のご主人様を亡くして以来、あの美しい豪邸に独り住まいをする80代のディーディーは試練だってもちろんいくつも経験しているけれど、彼女の人生は目の前で朗読する美しいEricaさんと同じほどに、いくつも神様から祝福を受けたんだと、神様の彼女への暖かい愛を目撃したように思った。

ベストセラー作家と、静かに朗読を楽しんだ今宵は、私にとっても、別世界に入り込んだような特別に豪華な経験だった。

いただいた本の内側にあった言葉。、”Kathyへ---あなたの言葉に翼を、あなたの体に健康を、あなたの人生に愛をーErica Bauermeister”と、書かれている。     

本をくださったEricaさん

ハーセプチンを無期限で継続

今日は3日繰り上がった外来日だった。

出血の原因は謎のまま、また様子をみることに。鎖骨付近の腫れについては、超音波で調べることになった。

そして、うれしい知らせーーー腫瘍科のミーティングで、ハーセプチンを無期限で継続することが認められた!\(^0^)/

おそらくUCLAのDr.グラスピーの意見が重しとなってくれたんだろう。普通、転移がない場合、ハーセプチンの投与は1年。

主治医によれば、1年以上継続しても、効果があるというエビデンスがない上、ハーセプチンは心臓に影響を与える可能性もある、癌がハーセプチンに耐性をつくって、癌が再発した場合、効かなくなってしまう可能性だってあるからと言う。

でも、Dr. グラスピーは、副作用がないなら、再発を防ぐために、何年でも続けるべきとおっしゃった。

湿疹を抑えられず、タイケルブを断念しなければならなくなった場合、新薬T−DM1は、まだ手が届かず、アバスチンは副作用が過激ということで、数ヶ月でハーセプチンの治療も打ち切り、後は経過観測、と言う話も持ち上がっていた。

癌細胞はまだ残っているだろうと疑う私には、この案は、納得できても、不安が残るものだった。

それが、タイケルブへのアレルギーは克服できているようだし、タイケルブが終わった後もハーセプチンをずっと続けられるなんて、夢みたい。本当にうれしい!

診察室を出た後、ジョージが、「以前の保険だったら、決してこんなことは認められなかったと思うよ。」と言ったけれど、私も同感。月に$5000もする薬だもの。サポートするデーターもないまま、無期限で継続を許可なんて、普通だったら考えられない。これもカイザー保険だからのこと。

ああ、神様が本当に道を切り開いてくださっている!そう思えてならない。